自分のキャラクターの動きに一喜一憂。思わぬ結末に会場がどよめく――。10月10日、北海道釧路市の釧路市民活動センターで、第4回U-16プログラミングコンテスト釧路大会が開催された。釧路大会は、規模こそ“本家”旭川大会の参加者50名前後(予定)に対して6名という小さな大会だが、昨年と一昨年、2年連続で全道大会の覇者を輩出。その北海道チャンピオンたちも出場する「山椒は小粒でもぴりりと辛い」大会だ。

競技部門は対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser旭川版」の上で参加者が作成したプログラム同士が戦って勝敗を決めていく。定められた動きの回数のなかで「相手より多くのアイテムを回収する」「出会った相手キャラクターの上にブロックを落とす」「相手が壁に突っ込むか場外に出て自滅する」のいずれかの方法で勝利を手にできる。

今年の釧路大会は、昨年の全道大会を制した加藤楓志さん、同じく一昨年の覇者である篠田裕人さんが揃って釧路工業高等専門学校に進学して出場。冒頭に、斉藤和芳実行委員長が「北海道チャンピオンのレベルの高い戦いを期待したい」と述べ、戦いの幕が切って落とされた。マイクを片手に実況するのは、実行委員として大会を支える釧路高専のOB、五十嵐優太さん。対戦後の解説は釧路高専の4年生、5年生が務めた。


1回戦は、3人ずつのブロックに分かれての総当たり戦。順調にアイテムを回収していくキャラクターもいれば、相手に近づいていく戦闘的なキャラクター、同じ動きを繰り返してしまうキャラクターもいて、プログラムを書いた本人はもちろん、観客も笑ったり、ため息をついたり、歓声を上げたりと忙しい。自分が書いたプログラムが動作している間、参加者も観客の一人になる。あと一手で勝利というときに壁に突っ込んで自滅したプログラムを書いた本人は、のけぞったあと、机に突っ伏して悔しさを表していた。こうした喜怒哀楽を素直に表現して、参加者と観客が一体になるのがU-16プロコンの楽しさだ。

その1回戦は、昨年の北海道チャンピオンが敗退する波乱の幕開け。準決勝に進んだのは、釧路高専1年の畑井有人さん、一昨年のチャンピオン篠田裕人さん、中学1年生の吉本雄斗さん、おなじく中学1年生で紅一点の岸凪沙さん。北海道チャンピオンはここでも苦杯をなめ、決勝には畑井さんと岸さんが進出した。

決勝では、「事前講習の3日間でプログラムを書き上げた」という畑井さんが先輩の貫禄をみせて危なげなく勝利を収めた。畑井さんと岸さんは、11月6日、旭川大会と同時に開催される全道大会に出場する。今年の釧路大会は、参加者やスタッフの盛り上がりはもちろん、見学に訪れた親子連れや先生もいて、来年以降につながる大成功のうちに幕を下ろした。

(文:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)
(写真:ITジュニア育成交流協会 道越一郎・市川正夫)