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SMAのセミナーでU-16プロコン「旭川モデル」を紹介

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 6月28日、一般社団法人スキルマネージメント協会(SMA、大原茂之理事長)が東京・千代田区のちよだプラットフォームスクウェアで開催した第7回SMAオープンセミナーで、ITジュニア育成交流協会の奥田喜久男理事長が 「広がる IT ジュニアの裾野とその未来」と題して講演した。

 スキルマネージメント協会(SMA)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)で標準化された組込みスキル標準(ETSS)をベースに、人材育成、スキルマネージメント手法の開発、スキルの分析手法、経営指標としてのスキルの可視化などを行う団体で、ITジュニア育成交流協会とは提携関係にある。

 「IoTとAIが牽引する時代の展望と人材の育成・活用のあり方」と題した今回のセミナーでは、SMAの大原理事長による「スキルとタレントのマネージメントによる人材育成研究会の活動報告 」など、三つの研究部会が会員企業に向けて報告。あわせて招待講演として、ITジュニア育成交流協会の奥田理事長が「広がるITジュニアの裾野とその未来」と題して講演した。

 講演では、協会の活動に初めて触れる方々にITジュニアの育成活動を紹介した後、今年度から新たに取り組むU-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)「旭川モデル」の展開を説明した。

 旭川で今年6回目を迎える16歳以下を対象としたU-16プロコンは、中学生を中心とする世代にプログラミングの楽しさを知ってもらい、パソコンが好きな子どもたちの夢や目標になることを目的とした大会だ。夏休みに事前講習会を開催し、秋にコンテストを行う。講習会からコンテストまで、参加する中学生たちはプログラミングを勉強するのだが、そのときわからないこと、困ったことが出てきたら、コンテスト実行委員会に連絡すると、地元の工業高校・高等専門学校の生徒・学生が教えに来てくれるという「先輩が後輩を教える」仕組みをもつ。

 

 いま、U-16プロコン北海道の実行委員会とITジュニア育成交流協会は、この仕組みを「旭川モデル」として全国で展開し、U-16プロコンを各地で開催しようと動きはじめている。人材育成の手法を研究するSMAの会員に向けた今回の講演によって、IT業界のなかから多くの応援の声が上がることを期待したい。


OSC北海道でU-16プロコンのデモンストレーションを実施

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 16歳以下の児童・生徒を対象にしたプログラミングコンテスト「U-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)北海道」の実行委員会が、6月18日、札幌市で開催された「オープンソースカンファレンス2016 Hokkaido (OSC北海道)」で、U-16プロコンを支えている大人たちなどによるデモンストレーションを行った。

 オープンソースとは、コンピュータプログラムのソースコードを一般に公開しているソフトウェア。インターネットなどを通じて無償で入手でき、誰でも自由に使用・改変などができるので、世界中の開発者コミュニティや企業が開発・利用している。U-16プロコンを北海道のオープンソース開発者たちが集まるイベント「OSC北海道」で紹介し、理解者や賛同者を募っていくことで、現在の旭川・釧路・帯広から、さらに開催都市を増やしていこうとする試みだ。

 

オープンソースを開発・利用する企業・団体が展示やセミナーで「オープンソースのいま」を提示する「OSC 北海道」
オープンソースを開発・利用する企業・団体が展示やセミナーで「オープンソースのいま」を提示する「OSC 北海道」

 

 約50人の観衆が見守るなか始まったデモンストレーションは、冒頭、実行委員会の下村幸広・旭川工業高校教諭が大会の内容と使用するプログラムを説明。続いて、午前中の予選で勝ち残った4組のプログラムによる対戦を行った。

 

U-16プロコン北海道実行委員会の下村幸広・旭川工業高校教諭が大会で使用するプログラム「CHaser」を説明
U-16プロコン北海道実行委員会の下村幸広・旭川工業高校教諭が大会で使用するプログラム「CHaser」を説明

 

 このプログラムに精通した4組のなかで、圧倒的な強さで勝ったのは、同じ対戦型プログラムを使用する高校生プログラミングコンテストで2012年に優勝した宮城県工業高校のプログラムだった。

 

勝負は「相手より多くアイテムを回収する」「自分のコマが敵のコマの上に乗る」「相手をブロックで動けなくする」ことなどによって決まる
勝負は「相手より多くアイテムを回収する」「自分のコマが敵のコマの上に乗る」「相手をブロックで動けなくする」ことなどによって決まる

 「OSC北海道」の終了後に行われた関係者懇親会には、出展していたクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役も顔をみせ、U-16プロコン実行委員会の面々と熱く語り合う場面がみられた。U-16プロコン旭川大会の仕組みを説明する下村教諭に、伊藤代表取締役は自らの歩んできた道を重ねながら質問を重ね、「旭川モデル」の真髄に迫った。最後には、自らが実行委員長を務め、10月10~16日に札幌で開催される映像と音楽、ITの祭典「No Maps」でのU-16プロコンのデモンストレーションを要請し、下村教諭も「ぜひお願いします」と応じた。

 

 U-16プロコン北海道実行委員会は、今後も全国のOSCで機会を見つけてこうしたデモンストレーションを実施し、それぞれの地方で理解者・賛同者を発掘していく。

 

松山市の小学生、夏休みにプログラミングを体験

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 7月31日、愛媛県松山市のポリテクセンター愛媛で開催された夏休み親子ものづくり体験教室で、新たに「プログラミング体験」のコーナーが設けられ、小学生の親子に好評を博した。

 

 夏休み親子ものづくり体験教室は、毎年行われるポリテクセンター愛媛(愛媛職業能力開発促進センター)の人気イベント。年を追うごとに参加者が増え、今年は金属加工や木材加工、ソーラーカー、タイルアートなど9種類の「親子ものづくり体験コーナー」と、バルーンアート、空気砲、木片組立てなどの「ミニものづくり体験コーナー」に、300人を超える親子が参加した。ここでのものづくりを夏休みの自由研究にあてる子どもたちもいて、会場は大盛況だった。

「プログラミング体験」は1回1時間×3コマを開催
「プログラミング体験」は1回1時間×3コマを開催

 

 事前申込みが不要の「ミニものづくり体験コーナー」に、今年は異色の「プログラミング体験」が加わった。企画に参画した愛媛県職業能力開発協会の若年者人材育成サポーター・西岡秀和氏は、「これまでは文字通り『ものをつくる』だけの教室だったが、2020年度以降、順次実施される新学習指導要領にプログラミングが盛り込まれることを踏まえて、ソフト分野のメニューとして盛り込んだ」と経緯を語った。

 依頼を受けて企画の実現に奔走したのが、愛媛県立松山工業高校の山岸貴弘教諭と松山市内でシステム開発会社を経営する松本純一郎氏だ。松山工業高校が毎年参加し、すぐれた成績を挙げている高校生プログラミングコンテストで使われる対戦型ゲーム「CHaser」をもとに、小・中学生がプログラミングを学ぶことができるカリキュラムを作成し、配付資料を準備した。山岸教諭は、「単に小・中学生にプログラミングのおもしろさをわかってもらうだけでなく、当校のメカトロ部の部員が年齢の近い小・中学生を教えることで、ともに成長していくことができる」と、「体験」の意義を説明した。

 

松山工業高校メカトロ部の1年生が“後輩”たちを教える
松山工業高校メカトロ部の1年生が“後輩”たちを教える

 

 1回1時間×3コマの「体験」には、合計18組の親子が参加。講師役の松本氏が最低限必要なことを説明した後、子どもたちに実際にパソコンを操作してもらい、意図した通りにプログラムが実行されることを確認していった。親子の脇では、メカトロ部の1年生部員が操作を助ける。ディスプレイを見つめる子どもたちの目は、真剣そのものだ。

 

子どもだけでなく親御さんたちも興味津々
子どもだけでなく親御さんたちも興味津々

 

 「1時間で教えられることは限られるが、まずは興味をもってもらい、資料として渡したCDでプログラミングに挑戦してほしい。秋には何らかのかたちでまた集まって、自分たちがつくったプログラムで対戦する場を設けたい」と、山岸教諭。今年の成果だけでなく、来年以降の「プログラミング体験」と、さらにその成果を披露する大会の開催に向けて大きな収穫を得た一日となった。

若年者ものづくり、電子回路組立て金賞は北本悠真選手

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 8月7~8日、厚生労働省と中央職業能力開発協会(JAVADA)が主催する第11回若年者ものづくり競技大会が栃木県と沖縄県で開催された。この大会は、企業などに所属せず、職業能力開発施設や工業高校などで技能を習得中の20歳以下の若年者に目標を与え、技能を向上させることによって就業を促進し、同時に若年技能者の裾野の拡大を図ることを目的とする競技会だ。「メカトロニクス」「旋盤」「フライス盤」「木材加工」「自動車整備」「ウェブデザイン」「ロボットソフト組込み」など14の職種で、若者たちが日頃鍛えた技能を競う。ITジュニア育成交流協会は、このうち「電子回路組立て」の金賞/厚生労働大臣賞受賞者を毎年1月に開かれるBCN ITジュニア賞の受賞者としてBCNに推薦している。

 

圧倒的な強さで金賞/厚生労働大臣賞に輝いた愛媛県立松山工業高校の北本悠真選手
圧倒的な強さで金賞/厚生労働大臣賞に輝いた愛媛県立松山工業高校の北本悠真選手
24人の代表によって繰り広げられた静かだが熱い闘い
24人の代表によって繰り広げられた静かだが熱い闘い

 

今年の若年者ものづくり競技大会は、栃木県で7職種、沖縄県で7職種が開催された。「電子回路組立て」の会場は、栃木県宇都宮市体育館。「電気工事」「機械製図(CAD)」「ITネットワークシステム管理」と同じ会場だ。

 

 「電子回路組立て」には、24名が参加。全国の予選を勝ち抜いてきた工業系の高校に所属する選手が10名、都道府県の職業能力開発大学校・短期大学校などの職業能力開発施設の選手が14名という内訳だ。高校は、愛媛県松山工業高校や北海道旭川工業高校、大分県立鶴崎工業高校、兵庫県立小野工業高校などの常連組だけでなく、北信越大会で名門の長野県松本工業高校を下して勝ち上がってきた富山県立高岡工芸高校など、新顔もみえる。

 

組立て基板の製作とそれを制御するプログラミングで勝負が決まる
組立て基板の製作とそれを制御するプログラミングで勝負が決まる

 

 「電子回路組立て」の競技では、競技仕様書にもとづいて「組立て基板」を製作し、仕様書通りに動作するよう、この基板を制御するプログラムを制作する。つまり、電子回路の組立てという物理的な作業の技量と、動作モードのプログラム設計というプログラミングの技量が問われるわけだ。仕様書は、事前に公開されているものと、当日公開されるものがあり、当然、当日公開の課題への対応がポイントの一つになる。また、作業中の態度も評価・採点の対象になる。

 

 競技は、8日の8時50分から、途中10分間の休憩を挟んで、午後1時までの4時間だ。前日に工具やパソコンの搬入・展開などの準備を終えている選手たちは、説明を受けた後、すぐに競技に入る。

 

慎重に、しかしすばやく回路を組み立てる(高岡工芸高校の竹田亮大選手)
慎重に、しかしすばやく回路を組み立てる(高岡工芸高校の竹田亮大選手)

 

 回路の組立てを早く終えることができれば、プログラミングにそれだけ時間を割くことができる。しかし、組立てのハンダ付けなどの厳しい審査基準をクリアするために、選手たちは慎重にコテを操る。

 

プログラムの動作を確認(鶴崎工業高校の宮﨑恭寛選手)
プログラムの動作を確認(鶴崎工業高校の宮﨑恭寛選手)

 

 1時間ほどで、ほとんどの選手が回路組立てを終了し、プログラミングに移る。仕様書を確認しながら、キーボードの上で指を踊らせる。そして競技時間の終了間際。選手たちはつくり終えた基板とパソコンからUSBメモリにコピーしたプログラムを審査員に提出していく。4時間の競技を終えた選手たちに、疲労の色はみえない。むしろ「やり終えた」「力を出し切った」という満足感のような表情が浮かんでいる。

 

 審査は競技終了後、時間をかけて厳正に行われ、成績は翌日、厚生労働省とJAVADAのホームページで発表される。華やかな表彰式などはないが、選手や指導者たちは会場からの帰途、あるいは地元で、やきもきしながらウェブサイトの再読込みを繰り返すのだという。

 

 翌日14時頃、すべての競技の成績が発表された。今年の「電子回路組立て」を制したのは、松山工業高校の北本悠真選手だった。指導する山岸貴弘教諭が「こんな生徒に初めて出会った、というほどの天才肌」と評する通り、回路組立てを真っ先に終えると、最後は動作確認作業や卓上の整理に使うほどの余裕をみせ、圧倒的にも映る勝利を飾った。質・量ともに豊富な練習量と、それを支えてきた指導のたまものの優勝だった。

 

金賞に輝いた北本悠真選手は、松山工業高校メカトロ部の部長を務める
金賞に輝いた北本悠真選手は、松山工業高校メカトロ部の部長を務める

 

 銀賞には東海職業能力開発大学校の加藤誠也選手、鶴崎工業高校の宮﨑恭寛選手、近畿職業能力開発大学校の辰ノ嘉郎選手、銅賞には高岡工芸高校の竹田亮大選手、小野工業高校の藤本将徳選手、愛知県立愛知工業高校の安江柾寛選手が入った。金賞/厚生労働大臣賞に輝いた北本悠真選手は、来年1月20日に開催されるBCN ITジュニア賞2017 の受賞者としてノミネートされる。

 

                      (文・写真:ITジュニア育成交流協会 市川 正夫)

 

【寄稿】若年者ものづくり競技大会観戦記

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北海道旭川工業高校 情報技術科教諭

 

下村幸広

 

 電子回路を学ぶ高校生の目標になる大会が二つある、一つは、今年は11月に札幌市で開催される高校生ものづくりコンテストの「電子回路組立」。もう一つは、8月7~8日に宇都宮市で開催された若年者ものづくり競技大会の「電子回路組立て」だ。

 

 若年者ものづくり競技大会は、20歳以下で企業に所属していない若者が学校などで学んでいる技能を競う場として設けられ、今回で11回目を迎える。主催は厚生労働省と国内最大の技能大会である技能五輪を主催する職業能力開発協会で、技能五輪に準じた課題が出題され、この点は授業の延長線上にある高校生ものづくりコンテストとは趣が異なる。

 

24名の精鋭たちが組込み技術を競った
24名の精鋭たちが組込み技術を競った

 

 「電子回路組立て」の出場者は、全国各ブロックの予選を勝ち上がった工業高校生10名と、都道府県の職業能力開発協会が推薦した14名の計24名。過去10回の結果をみると、高校生の優勝が8回と圧倒していて、高校生に分がある。今年の顔ぶれは、常連校の旭川工業高校、小野工業高校、松山工業高校、鶴崎工業高校のほか、初出場の高校勢、そして18歳以上の職業訓練各大学校の精鋭たちだ。やはり今回も、各地区でのし烈な予選を戦ってきた高校勢に分があると考えていいだろう。

 

 この大会では、運営スタッフや学校関係者以外にも、社内に技能五輪チームをもっている自動車メーカーやカメラメーカーが視察に訪れ、指導者と名刺を交換する姿をよく見かける。実際、ここで活躍した選手は企業の技能五輪チームに所属して競技を続けることが多く、たとえば昨年、ブラジル・サンパウロで開催された第43回技能五輪国際大会の電子機器組立てで優勝した今多和歩選手(札幌国際情報高校出身)は、第7回の若年者ものづくり競技大会の準優勝者だ。

 

 リオオリンピックのメダルラッシュに沸く8月8日午前8時50分、4時間の競技が始まった。「電子回路組立て」は、前半は電子回路の製作、後半は作成した電子回路用を制御するプログラムの作成と、まったく異なる技能を組み合わせた、いわゆる組込み技術を競う競技だ。

 

旭川工業高校からは帯川留維選手が出場。敢闘賞を受賞した
旭川工業高校からは帯川留維選手が出場。敢闘賞を受賞した

 

 選手の途中順位は作業の様子から推し量るしかないが、唯一はっきりとわかるのは電子回路製作完了の順番である。競技開始スタートから40分過ぎ、電子回路製作を最初に終えたのは、松山工業高校の北本悠真選手だった。ほどなく旭川工業高校の帯川留維選手、高岡工芸高校の竹田亮太選手と続いた。今年もやはり高校生が強いようだ。

 

 北本選手はプログラム課題も順調にこなし、翌日の結果発表で見事金賞(優勝)/厚生労働大臣賞に輝いた。競技前日、北本選手を指導している山岸貴弘教諭に話をうかがう機会があって、「選手のできには自信がある」と言っておられたが、それが現実のものになった。日頃の努力が実った瞬間である。

 

 会場の別室では、同じIT系競技の「ITネットワークシステム管理」も行われた。こちらは出場選手17名中、高校生は2名と、高校生が活躍する「電子回路組立て」とはまったく違う様相だった。出場枠が1県1名になり、高校生には敷居の高い大会になってしまったのが残念である。ネットワークやサーバーに興味をもつ高校生の目標となるべく、「電子回路組立て」同様、高校生出場枠を設けてほしいものである。

 

 選手たちは全身全霊をかけてこの大会に臨んでいる。指導・支援する先生方の労力は並大抵ではない。この大会を通して、日本のものづくりはそれを支える先生方の奉仕によって成り立っていることをあらためて痛感した。多くの若者がものづくりに興味をもち、切磋琢磨しながら、ライバルよりよいものをつくりあげる――大会の目的は概ね達成できている。そんな感想を抱いた。

 

 

                                                                       (写真:ITジュニア育成交流協会 市川 正夫)

【事務局通信】 さくらインターネット・江草陽太執行役員にインタビュー

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 BCNが発行するIT業界流通専門紙『週刊BCN』のインタビューコーナー「千人回峰」で、理事長の奥田喜久男が協会の協賛企業であるさくらインターネットの江草陽太執行役員にお話をうかがいました。

 

 江草さんは、入社2年目の今年7月に執行役員に就任。25歳にして、さくらインターネットの技術部門をリードしています。名刺に「執行役員」と並んで「エンジニア」と記されているように、期待されるのは「技術のゼネラリスト」。小学生のときのコンピュータとの出会い、中学生で同好会を立ち上げ、高校生のときにはロボットコンテストに挑戦……など、現在の江草さんに脈々とつながる「ITジュニアの成長物語」が語られています。多くの挑戦の中で培われた「技術のゼネラリスト」の素顔にぜひ触れてください。

 

 掲載は少し先の話になりますが、『週刊BCN』11月28日号(Vol.1655)/12月5日号(Vol.1656)の上下2回にわたります。また、ウェブサイト「週刊BCN+」にも掲載し、同時にここ「ITジュニアの広場」からもご覧いただけるようにする予定です。どうか楽しみにお待ちください。

 

                                                                           NPO法人 ITジュニア育成交流協会 事務局

 

さくらインターネット 江草陽太執行役員
さくらインターネット 江草陽太執行役員

6回目を迎えるU-16プロコン 「旭川モデル」として全国展開も

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 旭川で6回目を迎えるU-16プログラミングコンテストの準備が着々と進みつつある。7月の事前講習会から始まり、現在、競技部門に参加する子どもたちは11月6日に旭川市科学館で行われる大会に向けて、自分のプログラムに日々磨きをかける段階に入っている。

 

 U-16プログラミングコンテスト旭川大会は、旭川市や近郊の中学校・高等学校に在籍する16歳以下(高校1年生以下)の子どもたちを対象にしたコンテスト。2011年に始まり、毎年参加者を増やしながら今年で6回目を迎える。

 

 コンテストには、競技部門と作品部門がある。競技部門は対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser旭川版」の上で参加者が作成したプログラム同士が戦って勝敗を決めていく。自分の書いたプログラムが観客の前で戦うのだから、ある種、スポーツのような興奮を伴う部門だ。作品部門は、CGやウェブコンテンツ、アプリ、音楽など、プログラムを用いて制作した作品であれば自由に参加できる。

 

 実行委員会が掲げる大会の目的は四つ。「パソコンが好きな子どもたちの夢や目標となる場所を提供する」「情報技術を生業としている大人が子どもたちの作品を評価し、ほめ称える場所を提供する」「情報技術を通じた子どもたちの健全育成」「将来のITエンジニア育成」。このどれもが、子どもたちの成長を願う気持ちに溢れているが、さらに旭川の大会がすばらしいのは、ゼロからプログラミングを学ぶ子どもたちのために、「先輩が後輩を教える」という仕組みをもっている点だ。

 

 秋の大会に向けて、実行委員会は夏休みに競技部門の参加者を対象に事前講習会を開催し、プログラミングの基本と、大会で使用する「CHaser旭川版」のプログラミングを教える。講習会終了後、子どもたちは中学校のクラブ活動などで自分のプログラムを磨いていくことになるのだが、どうしてもわからないこと、行き詰まってしまうことがある。このとき、中学校が実行委員会に連絡すると、旭川工業高校や旭川工業高等専門学校でプログラミングを学んでいる生徒・学生が中学校に駆けつけてきて、教えてくれるのだ。

 

 教えることは学ぶこと。高校生、高専生たちは、中学生たちを教えながら自分たちも学んでいく。旭川では、先輩が後輩を導きながら、ともに成長する仕組みができあがっているのだ。7月16・17日に開催された今年の事前講習会でも、旭川工業と旭川高専の生徒・学生、計10名の合同チームが資料を作成し、指導にあたった。

実行委員会による中学校への告知活動が実って事前講習会には32名が参加
実行委員会による中学校への告知活動が実って事前講習会には32名が参加
教材づくりを含めて高校生・高専生が中学生を指導する
教材づくりを含めて高校生・高専生が中学生を指導する

 今年の事前講習会には、中学6校、高校1校から計32名が参加。すでにノウハウをもっている中学校は事前講習会には参加していないことから、11月6日の本大会参加者は過去最多だった昨年の32名を大きく上回り、50名前後になるとみられる。

 

 ITジュニア育成交流協会は、旭川大会をはじめとする北海道内のU-16プログラミングコンテストを応援するとともに、「先輩が後輩を教える」仕組みをもつU-16プロコンのかたちを「旭川モデル」と名づけ、全国各地域への展開を支援していく。多くの子どもがプログラミングの楽しさに触れ、日本の未来を担うITジュニアとして育っていくために、地域の志ある大人たちとともに「旭川モデル」の定着を目指す。

 

(文:ITジュニア育成交流協会 市川 正夫)

(写真:U-16プログラミングコンテスト実行委員会)

U-16プロコン 北海道・富良野で芽吹く

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 U-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)が、北海道でムーブメントを広げつつある。2011年に旭川で始まった大会は、14年に釧路大会、15年に帯広での北海道大会開催と、地域の有志たちと高校生・高専生の手によって開催地を増やしてきた。そしていま、富良野市で芽吹こうとしている。

 

 今年の旭川大会は11月6日の開催で、その前日の5日には、旭川から50kmあまり離れた富良野市で、ITイベント「LOCAL DEVELOPER DAY'16 in FURANO」が行われる。主催は富良野市のIT系コミュニティ「FuraIT(ふらいと)」。これまでSQLやLINUXの勉強会、ドローンに関するミーティングなど、ITに関する幅広い分野でイベントを開催してきた実績がある。集まるのは、地域のIT業界人や高校生などさまざまだ。

 

 「LOCAL DEVELOPER DAY'16 in FURANO」では、さくらインターネットのエバンジェリスト、法林浩之によるゲスト講演やU-16プロコンの説明会などを予定している。今回は富良野だけでなく、道内外から広くIT人材が参加するイベントを旭川大会の前日に開催することで、U-16プロコンの理解者を増やそうという計画だ。

 

7月30日には高校生を対象に指導者向けの講習会を開催
7月30日には高校生を対象に指導者向けの講習会を開催

 

 実はこのイベントに先立って、旭川のU-16プロコン実行委員会は、7月30日に富良野で指導者向けの講習会を行った。これは富良野緑峰高校の生徒たちに、今後U-16プロコンの講師として活動してもらうための布石だ。U-16プロコンとして、富良野市で大会が立ち上がるのはまだ先かもしれないが、こうした活動が地域に根づいていくことが、教える側と教わる側、双方の子どもたちの未来をつくっていく。

 

 

                                    (文:ITジュニア育成交流協会 市川 正夫)

                             (写真:U-16プログラミングコンテスト実行委員会)


【協賛企業通信】アメリカンフットボール、エレコム神戸の試合を見てきた!

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 ITジュニア育成交流協会の協賛企業であるエレコムは、地域に密着した社会貢献活動の一つとして、アメリカンフットボールXリーグWEST所属の神戸ファイニーズをオフィシャルスポンサーとしてサポートしている。そのエレコム神戸ファイニーズ(エレコム神戸)の2016レギュラーシーズン第4戦、10月1日の対オール三菱ライオンズ(オール三菱)戦を観戦する機会を得た。ハーフタイムにお聞きしたエレコム・葉田順治社長のお話とともに観戦記をお届けしよう。

 

産学協同でチームの強化に取り組む

 エレコム神戸ファイニーズは、1975年。滋賀県長浜市でクラブチームの湖北ファイニーズとして誕生した。91年、93年にはサンスター・ファイニーズとして全日本社会人選手権で2位になったこともある名門チームだ。2001年からはNPO法人として活動し、05年に拠点を神戸に移した。エレコムは09年4月にメインスポンサーとなり、チーム名もエレコム神戸ファイニーズとなって、14年シーズンはXリーグWESTを制覇した。

「もともと当社の社員が神戸ファイニーズでプレーしていたことがきっかけです。2008年の当社の忘年会のとき、チームスポンサーを探している話を耳にして、そのご縁から話が進んで、翌年にメインスポンサーになりました」(葉田社長)

 今春は西日本社会人選手権で準優勝のエレコム神戸。第4節は社会人1部の中位にいるオール三菱ライオンズが相手だ。天候に恵まれた大阪・万博記念公園内のエキスポフラッシュフィールドでの試合は、17時10分にキックオフを迎えた。

 

 

 前半戦、自力に勝るエレコム神戸が順調に先制点を挙げ7-0とする。これまでの戦績からみて、このまま得点差を広げていくかと思われたエレコム神戸だが、オール三菱の踏ん張りに追加点が奪えない。そして第2クォーター、前半終了が近づいてきた時間帯に、ここまで辛抱強く耐えてきたオール三菱に絶好のチャンスが訪れ、これをものにしたオール三菱が同点に追いついた。その後、再度突き放しにかかったエレコム神戸の攻撃をオール三菱がしのぎ、7-7の同点で前半が終了した。

「一昨年のシーズン終了後、当時の主力プレーヤー数名がリーグ優勝を集大成として引退したので、いまチームは再構築の途上です。昨年は芳しくない結果でしたが、今年は能力の高い選手が加入し、強化は順調です。クラブチームは企業チームに比べると練習時間などに制限がありますが、効率よくチーム力を高めています。目指しているのは『一過性の強いチーム』ではなく、『継続性の高いチーム』です」(葉田社長)

 エレコムは、15年に教育環境の向上とファイニーズ/神戸大学のアメリカンフットボール部レイバンズ(関西学生リーグ1部)の強化を図るために、神戸大学に鶴甲第一キャンパスの人工芝化とトレーニングジム設備を寄付。この神戸大学エレコムグラウンドで、ファイニーズ/レイバンズが合同トレーニングや合同練習を行って、産学共同で日本一を目指している。さらにフィールド外でも、小学生向けにフラッグフットボール教室を開催したり、ファンの方々との交流を目的とした感謝イベントを開催したりなど、多くの地域活動を実施している。

 

試合を支配しながらの惜敗で今後の連勝に期待

 後半戦も勢いはエレコム神戸にあった。前半同様、圧倒的な攻撃でオール三菱にプレッシャーを加え続け、攻めるエレコム神戸、守るオール三菱の状況が続いた。終盤に差しかかったところで、膠着状態だった試合が一気に動き出す。あとわずかの所でゴールラインを越えることができないエレコム神戸は、ここまで攻めあぐねていたオール三菱にわずかな隙を突かれ、7-14と逆転されてしまう。さらに、勢いに乗った相手にフィールドゴールで追加点を奪われ、7-17とさらにリードを広げられてしまう。

サイドラインから戦況を見守るエレコム葉田社長
サイドラインから戦況を見守るエレコム葉田社長

 このままでは終わることができないエレコム神戸。テンポよく攻撃を重ね、タッチダウンで14-17と追い上げる。しかし、残り時間1分19秒から再逆転を狙った猛追も及ばず、残念ながらエンドオブゲーム(試合終了)を迎えた。試合を支配しながらも勝負に負けたエレコム神戸。不完全燃焼で非常に悔しい一戦だったが、まだ社会人王者決定トーナメント進出のチャンスは残っている。今後の連勝と、勝利を手にしたオフシーズンの地域貢献活動に期待したい。

(文・写真 BCN 石井健太郎)

U-22プロコン2016 小学生・中学生を含む4作品に栄冠

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 252作品のなかから選ばれた16作品――。10月2日、U-22プログラミング・コンテスト実行委員会が主催し、経済産業省などが後援する「U-22プログラミング・コンテスト2016」の最終審査会が東京の秋葉原UDXで開催された。BCN ITジュニア賞のノミネート対象である経済産業大臣賞で、小学生と中学生という若い才能が開花した。

 

史上最多の応募作品の中から 選ばれたファイナリスト

 U-22プログラミング・コンテストは、アイデアに富んだイノベーティブな人材発掘と育成を目的とするコンテストで、1980年から経済産業省が主催してきた。2014年からは応募対象者を22歳以下に拡大し、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の会員企業のなかでコンテストの趣旨に賛同する企業で構成する実行委員会が主催している。

 

 

 今年は史上最多となる770人、252作品の応募があり、盛り上がりをみせていた。事前審査で41作品に、一次審査で16作品にまで絞り込み、最終審査会では、審査員の前で児童・生徒・学生がプレゼンテーションを披露。審査員からの質問にはきはきと答えた。

 最終審査会の冒頭、実行委員長を務めるサイボウズの青野慶久社長は、「2015年の最終審査は小学生、中学生がすごいレベルのプレゼンをして非常に盛り上がった。今回はもっとたくさんの人に見てもらおうと、ニコニコ動画生放送で中継する。252作品のなかの16作品、つまりたった6%の選ばれた作品を生み出した皆さんだから、自信をもって元気よく発表してほしい」と激励した。

 

参加者を激励する青野慶久実行委員長
参加者を激励する青野慶久実行委員長

生活のなかから着想を得て 問題解決に取り組む

 16作品のプレゼンテーションが終わり、実行委員・審査委員による厳正な審査の結果、4組の経済産業大臣賞が決定した。

 経済産業大臣賞アイデアに選ばれたのは、東京学芸大学附属竹早小学校4年生の二ノ方理仁さんのアプリ『Worknote - Organize your Brain』。二ノ方さんは、「したいこと、中断してしまっていることがたくさんあって、何をどこまでしたか考えると頭がごちゃごちゃになる」とアプリ開発のきっかけを説明。そんな日々のなかでひらめいたのが、作業の整理整頓ツールだったという。作業記録をつけ、整理し、記録した中断作業の続きを実行することで、作業を効率よくこなすことができる。

 

二ノ方理仁さんのアプリ『Worknote - Organize your Brain』
二ノ方理仁さんのアプリ『Worknote - Organize your Brain』

 

 経済産業大臣賞プロダクトは、ぐんま国際アカデミー中等部7年生(中学1年)の青山柊太朗さんのアプリ『わたしのお薬』。夏休みに米シリコンバレーのプログラミング講座「Make School」に3週間通い、英語で行われる授業を受けて、プログラミングの基礎を学んだという。

 

青山柊太朗さんのアプリ『わたしのお薬』
青山柊太朗さんのアプリ『わたしのお薬』

 

 『わたしのお薬』は毎日4種類もの薬を飲む祖父のために開発した薬の飲み忘れを防止するアプリだ。高齢者が薬を飲まない理由を洗い出し、機能やインターフェースを工夫した。9月中旬のコンテスト一次審査後、さらにブラッシュアップを重ねて、デザインを親しみやすいものに変更したという。

 

専門学校生の高い技術力 独自OSと3Dアクションゲーム

 経済産業大臣賞テクノロジーに選ばれたのは、HAL東京の斎藤鴻さんの自作OS『WARos(ウォー・オーエス)』。ゲームやスマートフォン向けアプリの応募が多いなかで、独自のOSで応募した。『WARos』はIoTに最適なOSで、組込み環境に応じて、必要な機能だけを搭載。不要な機能を落とすことで、ネットワーク経由で攻撃されるリスクを減らし、また高速起動ができるなどの利点もある。

 

斎藤鴻さんの自作OS『WARos』
斎藤鴻さんの自作OS『WARos』

 

 経済産業大臣賞総合に選ばれたのは、ECCコンピュータ専門学校のチーム・藤原重工のゲーム作品『Project Stinger』。3DアクションRPGで、モーションの動きを滑らかにする技術を搭載し、カクカクした動きがない。また、ウェポンチェンジやコアメモリのシステムなども完成度が高く、ニコニコ生放送の視聴者から最も高い支持を受けて、Best Viewers賞も受賞した。

 

チーム・藤原重工の3DアクションRPG『Project Stinger』
チーム・藤原重工の3DアクションRPG『Project Stinger』

 

 経済産業大臣賞に輝いた4チーム/個人は、来年1月20日に開催されるBCN ITジュニア賞2017の受賞者としてノミネートされる。

 

(文・写真 BCN 山下彰子)

U-16プロコン釧路大会 チャンピオンは高専1年生の畑井有人さん

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 自分のキャラクターの動きに一喜一憂。思わぬ結末に会場がどよめく――。10月10日、北海道釧路市の釧路市民活動センターで、第4回U-16プログラミングコンテスト釧路大会が開催された。釧路大会は、規模こそ“本家”旭川大会の参加者50名前後(予定)に対して6名という小さな大会だが、昨年と一昨年、2年連続で全道大会の覇者を輩出。その北海道チャンピオンたちも出場する「山椒は小粒でもぴりりと辛い」大会だ。

参加者を前に開会を宣言する斉藤和芳実行委員長
参加者を前に開会を宣言する斉藤和芳実行委員長

 競技部門は対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser旭川版」の上で参加者が作成したプログラム同士が戦って勝敗を決めていく。定められた動きの回数のなかで「相手より多くのアイテムを回収する」「出会った相手キャラクターの上にブロックを落とす」「相手が壁に突っ込むか場外に出て自滅する」のいずれかの方法で勝利を手にできる。

キャラクターは青のC(Cool)が先手、赤のH(Hot)が後手
キャラクターは青のC(Cool)が先手、赤のH(Hot)が後手

 今年の釧路大会は、昨年の全道大会を制した加藤楓志さん、同じく一昨年の覇者である篠田裕人さんが揃って釧路工業高等専門学校に進学して出場。冒頭に、斉藤和芳実行委員長が「北海道チャンピオンのレベルの高い戦いを期待したい」と述べ、戦いの幕が切って落とされた。マイクを片手に実況するのは、実行委員として大会を支える釧路高専のOB、五十嵐優太さん。対戦後の解説は釧路高専の4年生、5年生が務めた。

堂に入った司会ぶりをみせた五十嵐さん
堂に入った司会ぶりをみせた五十嵐さん
高専生はわかりやすく的確な解説で大人たちをうならせた
高専生はわかりやすく的確な解説で大人たちをうならせた

 1回戦は、3人ずつのブロックに分かれての総当たり戦。順調にアイテムを回収していくキャラクターもいれば、相手に近づいていく戦闘的なキャラクター、同じ動きを繰り返してしまうキャラクターもいて、プログラムを書いた本人はもちろん、観客も笑ったり、ため息をついたり、歓声を上げたりと忙しい。自分が書いたプログラムが動作している間、参加者も観客の一人になる。あと一手で勝利というときに壁に突っ込んで自滅したプログラムを書いた本人は、のけぞったあと、机に突っ伏して悔しさを表していた。こうした喜怒哀楽を素直に表現して、参加者と観客が一体になるのがU-16プロコンの楽しさだ。

喜怒哀楽を素直に表現できるのがU-16プロコンの楽しさだ
喜怒哀楽を素直に表現できるのがU-16プロコンの楽しさだ

 その1回戦は、昨年の北海道チャンピオンが敗退する波乱の幕開け。準決勝に進んだのは、釧路高専1年の畑井有人さん、一昨年のチャンピオン篠田裕人さん、中学1年生の吉本雄斗さん、おなじく中学1年生で紅一点の岸凪沙さん。北海道チャンピオンはここでも苦杯をなめ、決勝には畑井さんと岸さんが進出した。

優勝インタビューに答える畑井有人さん
優勝インタビューに答える畑井有人さん

 決勝では、「事前講習の3日間でプログラムを書き上げた」という畑井さんが先輩の貫禄をみせて危なげなく勝利を収めた。畑井さんと岸さんは、11月6日、旭川大会と同時に開催される全道大会に出場する。今年の釧路大会は、参加者やスタッフの盛り上がりはもちろん、見学に訪れた親子連れや先生もいて、来年以降につながる大成功のうちに幕を下ろした。

参加者と実行委員会でパチリ。前列左から、4位の吉本雄斗さん、2位の岸凪沙さん、優勝した畑井有人さん、3位の篠田裕人さん
参加者と実行委員会でパチリ。前列左から、4位の吉本雄斗さん、2位の岸凪沙さん、優勝した畑井有人さん、3位の篠田裕人さん

                         (文:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)

                   (写真:ITジュニア育成交流協会 道越一郎・市川正夫)

第27回高専プロコン 高専生の独創的なアイデアが伊勢で輝く

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 高専の学生が待ちに待った季節がやってきた。全国高等専門学校 第27回プログラミングコンテスト(高専プロコン)の本選は、10月8・9日の2日間にわたって三重県伊勢市で開催された。予選を通過した課題・自由・競技部門の計101チームの高専生たちが、全国から会場の伊勢市観光文化会館に集結。今大会のテーマ「輝く真珠は僕らの発想(アイデア)」の下で、この日のために磨いてきた技術とアイデアを披露した。

会場の伊勢観光文化会館
会場の伊勢観光文化会館

積み上げてきた成果を披露

 開会式では、今年の主管校でプロコン委員長を務める鳥羽商船高専の新田保次校長が、「これからの第4次産業革命、IoT社会を引っ張っていくのは皆さんだ。2日間、遺憾なく実力を発揮し、思い出に残るプロコンにしてほしい」と、参加する高専生たちを激励した。

 

主管校・鳥羽商船高専の新田保次校長
主管校・鳥羽商船高専の新田保次校長

 高専プロコン初日は、課題・自由部門のプレゼンテーション審査と競技部門の1回戦が行われた。課題部門では、与えられたテーマに沿った作品を制作・発表・展示する。今大会のテーマは、2020年開催の東京五輪を意識した「スポーツで切り拓く明るい社会」。ひと言でスポーツといっても、種目の違いや、見て楽しむ/プレーして楽しむという切り口の違いから、高専生たちが考えてきた作品は実に多彩で楽しいものになった。自由部門では、各チームがジャンルにとらわれない独創的な作品を紹介。両部門のプレゼンテーションでは、発表者の緊張が伝わってくるシーンや、審査員から寄せられる鋭い質問にたじろぐシーンがみられたが、説明方法や資料に工夫を凝らしながら、自分たちの作品に自信をもって力強くアピールしていた。

 

 高専プロコンの華、競技部門の今年の競技は、「ホントの魅力がミエますか?」をテーマにしたパズルだ。多角形の木片でできたパズルのピースを制限時間内に実際に手で枠内に並べ、完成させる「早さ」と「正確さ」を競う。完成させると、ピースと枠の形状から、伊勢志摩・鳥羽の名所名物の絵が浮かび上がる仕組みだ。各チームがどのようにして枠やピースを電子データ化し、開発したアルゴリズムを駆使していかに早く正確な回答を導き出すかが勝負の分かれ目になる。

 

 一回戦では、各チームがPCだけでなく、カメラやスキャナなどを持ち込んで、それぞれの手法でパズルを解きにかかった。多くのチームが回答を導き出すのに四苦八苦するなか、二人の司会者による実況が場を盛り立て、観客はステージから目をそらすことができない。多くのチームがパズルを完成させることができず、ピースを枠内に並べて試合を終えるなか、第2試合で初めて絵を完成させた呉高専の「快速カケライナー枠行き」チームには、観客席から大きな拍手と歓声が上がった。しかし、結局、完全回答したのは呉高専一校にとどまり、初日の競技を終えた。急きょ発生したルール変更への対応もあり、この晩、各チームは寝ずにプログラムを改良し、二日目に備えた。

 

まさかの展開の二日目、人力?

 そして迎えた二日目。競技部門は、一回戦第4試合の再試合と敗者復活戦、準決勝、決勝が行われた。ここで競技の様相が明らかに変わり、まさかの展開になっていく。

 

 敗者復活戦では5校がパズルを完成させ、会場は大いに沸いた。しかし、問題の難易度が上がった準決勝あたりから、競技の様相が変わり始める。それまでは時間をぎりぎりまで使ってパズルの完成を目指すチームが多かったが、戦法を切り替えて、スピード重視で人力でピースを置けるだけ置いて回答を終える「早さ」重視のチームが現れはじめたのだ。実際に、最後まで完成を目指したチームがピース数の差で敗れてしまうことがあり、並べた「ピース数」と「早さ」だけで勝つことができるとわかれば、各チームの切り替えは早かった。決勝では、プログラムを走らせるか、人力だけでパズルを解くか、試合に勝つか勝負に勝つか、各チームは決断を迫られた。その結果、途中までプログラムでピースをまとめ、ある時点で人力に切り替えるチームが多くなったように思う。

 

 こうした戦いの結果、競技部門を制したのは、同時開催のNAPROCK国際大会に出場したモンゴル科学技術大学だった。高専プロコンとしての優勝・文部科学大臣賞を受賞したのは、2位で試合を終えた弓削商船高専「一致百慮」チームだった。結果として、組んできたプログラムを走らせる場面が少なくなったが、ある上位入賞チームが壇上で「情けない気持ちだ」と語ったことが印象的だった。また、「プログラミングがうまくできていたとしても、時間内に終えることは難しかった」と話すチームが多く、パズルが非常に難題であったことがうかがえた。

高専プロコン競技部門を制した弓削商船高専「一致百慮」チーム
高専プロコン競技部門を制した弓削商船高専「一致百慮」チーム

 課題・自由部門は、デモンストレーション審査、展示審査で作品を評価。その結果、課題部門は選手目線の映像や音声を取得して動きを伝える東京高専の「リアルタイムに選手とシンクロするスポーツ観戦システム」が、自由部門は主管校である鳥羽商船高専の「みつばちず――ドローンを用いた防災減災地図作成システム」が、それぞれ最優秀賞・文部科学大臣賞に輝いた。

課題部門の東京高専は360°ディスプレイで臨場感を追求
課題部門の東京高専は360°ディスプレイで臨場感を追求
自由部門の鳥羽商船高専のシステムは社会実験で実用に供されている
自由部門の鳥羽商船高専のシステムは社会実験で実用に供されている

 神沼靖子審査委員長の講評を聞いて閉会式を終えた高専生たち。二日間で力を出し切り、徹夜組も多いだろうに、宇治山田駅に向かうみんなの顔は満足げに輝いていた。来年の高専プロコンは、山口県徳山市、主管校は大島商船高専での開催を予定している。

 

(文:『週刊BCN』記者 前田幸慧)

(写真:ITジュニア育成交流協会 道越一郎・市川正夫)

【寄稿】U-16プロコン、帯広でも始まる!

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北海道旭川工業高校 情報技術科教諭

 

下村幸広

 

 

昨年の全道大会開催がきっかけに

 2011年9月、旭川で始まったU-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)。2013年に釧路に飛び火し、さらに今年は北海道帯広市が3番目の開催地となった。「第1回U-16プログラミングコンテスト帯広大会」である。実は昨年、帯広市に旭川大会と釧路大会の上位入賞者が集まり、北海道大会を開催した。ここには帯広市内からの参加者はいない。旭川と釧路から参加した子どもたちの輝いている姿を目にして、「来年はぜひ帯広でもU-16プロコンを」という関係者の強い思いが今年の開催につながった。

 コンテストを開催するには中学校や高校の先生方の協力が欠かせない。コンテストの趣旨に賛同し、参加を名乗り出てくれたのは、帯広工業高校電気科の増田尚之教諭だ。その増田先生率いる工業技術部は、全校生徒の1割にあたる51名の部員を抱える大所帯の部活動。情報通信技術班(10名)、ロボット製作班(23名)、エアエンジン班(17名)の3班に分かれ、今回U-16プロコンに取り組んだのは、資格取得とプログラミングを活動の中心に据える情報通信技術班である。

 帯広で初めてのU-16プロコン、そのプラットフォーム(CHaser旭川版)のプログラミング指導は、今年、旭川工業高校情報技術科を卒業し、現在富士ソフトでSEを務める髙橋祐希さんが買って出てくれた。髙橋さんは旭川工業高校情報処理部で情報系の全国大会に3回出場した経験をもっている。

 大会のおよそ1カ月前の10月8日、帯広工業高校実習室で、髙橋さんを講師に迎えて初めての講習会を開催した。目的は、U-16プロコンに参加する1年生のプログラミング技能の習熟である。講習には、2年生、3年生の生徒も多く参加していた。その2年生が、参加の動機を「もともとプログラミングには興味があるし、来年の新1年生にも教えたい」と言っていたことが印象的で、生徒たちの前向きで真摯な気持ちには感銘を受けた。

 

競技中には大人でもこんな表情になるのがU-16プロコンの魅力だ。後ろの黒板にも注目!
競技中には大人でもこんな表情になるのがU-16プロコンの魅力だ。後ろの黒板にも注目!

 

 大会には、工業技術部の他班の生徒や、釧路大会実行委員長の斉藤和芳さん、北海道大会実行委員の坂本和士さんが観戦に駆けつけてくれた。まったくの初心者が1カ月でどれくらいのプログラムを作成できるのか、正直言って心配だったが、いざフタを開けてみれば、初心者によくあるエラー停止や自殺プログラムはなく、その高い完成度に驚かされた。「さすが高校生」と選手に話を聞くと、どうやら講師を務めた髙橋さんがメールやSNSで何度も指導してくれたようだ。学校こそ違うが、「先輩から後輩へ技能のリレー」という「旭川モデル」の仕組みがここでも機能していた。

 

総当たりで6試合を実施
総当たりで6試合を実施

 

 参加者が4名と少人数なので、競技は総当たり戦で6試合を行った。その結果、2勝1敗で松尾真冬さんと伊藤航さんの両名が並び、獲得アイテム数の差で松尾さんが初代チャンピオンに輝いた。優勝の松尾さん、準優勝の伊藤さんは3日後に開催される全道大会の切符を手にし、またNPO法人ITジュニア育成交流協会からは図書カードが贈られた。

 

後列左から帯広工業高校の増田先生と帯広工業の2年生、3年生たち、下村。前列左から坂本さん、審判長特別賞の道下悠矢さん、同じく鹿島啓介さん、準優勝の伊藤航さん、優勝の松尾真冬さん、辻田さん
後列左から帯広工業高校の増田先生と帯広工業の2年生、3年生たち、下村。前列左から坂本さん、審判長特別賞の道下悠矢さん、同じく鹿島啓介さん、準優勝の伊藤航さん、優勝の松尾真冬さん、辻田さん

 

 帯広市でIT企業を経営する実行委員長の辻田茂生さんは、「大会が開催できたのは、増田先生と出会うことができたから。これに尽きる、これからも地域を盛り上げて、プログラミングを学ぶ子どもたちの目標になる場所を提供していく」と力強く話した。

 生徒たちを参加させた増田先生は、「プログラミングを学びたい生徒はたくさんいるのだが、これまではなかなか目標を設定できなかった。このようなすばらしい大会を開催してくれる方の気持に応えたい」と、来年以降も本腰を入れて望む構えだ。増田先生は、「今年の大会に参加した1年生には、中学生向けのプレゼンテーション資料作成を指示した」と発表。中学校向けの講習会の実施など、来年の帯広大会へのビジョンをしっかりもっているようである。

 帯広市には、工業系大学や高等専門学校がない、さらに、地域で唯一の工業高校には情報系の学科がない。「IT弱小地域なのでは」と思いきや、そこには情熱をもった先生と生徒たちがいて、「地域のITはオレたちに任せろ」といった気概が伝わってくる。来年、そして再来年と、この高校生が中学生を教え、ともに成長する姿が目に浮かんできた。

 U-16プログラミングコンテストを通じて地域を盛り上げ、子どもたちの成長をともに見守りたい、そんな地元のやさしさに触れて、温かい気持ちになった。

(写真:斉藤和芳)

第6回U-16旭川プロコン、雪を融かした子どもたちの熱気

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「例年に比べると3週間は早いですね」。タクシーの運転手さんは開口一番、天候をそんなふうに表現した。旭川は白一色。雪は降り続いていたが、しかし旭川科学館のなかは、1年前に感じた独特の興奮に包まれていた。第6回U-16旭川プログラミングコンテスト/第3回U-16プログラミングコンテスト北海道大会(主催:U-16旭川プログラミングコンテスト実行委員会/後援:旭川市教育委員会)は、そんな熱気のなかで始まった。

競技部門は過去最高の54人が参加

 大会当日の朝、30cm近くまで降り積もる雪のなか、大会に参加する子どもたちが先生に連れられて、次々に会場の旭川市科学館サイバルに入っていく。第6回U-16旭川プログラミングコンテスト/第3回U-16プログラミングコンテスト北海道大会は、11月6日午前10時、旭川高等専門学校の佐竹利文教授による開会宣言で幕を開けた。

 U-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)には、競技部門と作品部門がある。競技部門は対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser旭川版」の上で参加者が作成したプログラム同士が戦って勝敗を決めていく。今年の競技部門の参加者は、昨年の倍近い54人。中学校7校、高校3校からの参加だ。昨年と同じ会場の特別展示室は、スクリーンと機材、観客席を置いたら満杯状態になっていた。

 作品部門は、CGやウェブコンテンツ、アプリ、音楽など、プログラムを用いて制作した作品であれば自由に参加できる。会場後ろのボードで展示した作品部門には、9作品が集まった。

 競技部門の旭川大会予選は、一人ひとりが実行委員会が用意したプログラムと戦って得点を競い、上位12人が決勝に進出する。決勝トーナメントは北海道大会を兼ねて、この12人に釧路大会の優勝者・準優勝者、帯広大会の優勝者・準優勝者の4人が加わり、16人が2本先取の3本勝負で優勝を争う。

 自分が書いたプログラムが観客の前で戦うのは、期待と不安、そして何となく感じる恥ずかしさが三分の一ずつ、といったところだろうか。分身同士の戦いでは、自分のプログラムだけでなく、仲間が書いたプログラムであっても応援には力がこもる。とくに過去最高の参加者を記録した今年は、歓声と笑いが絶えない楽しい大会となった。

 予選では、残念ながらプログラムが立ち上がらなかったり、すぐに止まってしまったり、あるいは自ら壁に突っ込んでしまう、同じところをぐるぐる回ってしまうシーンも見られたが、そこは初めてプログラミングに取り組んだ子どもが誰でも通る道。勝っても負けても失敗しても、歓声が会場を包んでいた。

会場は常に歓声と笑いに包まれていた
会場は常に歓声と笑いに包まれていた

決勝は女子生徒の戦いに

 旭川大会予選を勝ち抜いた12人の内訳は、今年初めて挑戦した中学1年生が5人、2年生が1人、3年生が5人、高校・高専1年生が1人。昨年、旭川大会を制して北海道大会に進み、決勝で涙をのんだ下村恵子さん(旭川教育大付属中3年)や、富良野から参加した中村拓夢さん(富良野緑峰高1年)など、多彩な顔ぶれだ。

 決勝トーナメントからの北海道大会に参加するのは4人。釧路大会では、昨年、一昨年の北海道大会の覇者の二人が敗退するという“波乱”があり、それだけに今年優勝した畑井有人さん(釧路高専1年)、準優勝の岸凪沙さん(阿寒中1年)に期待が集まった。つい3日前に初めて開催した帯広大会からの代表は、優勝した松尾真冬さん(帯広工業高1年)と準優勝の伊藤航さん(帯広工業高1年)だ。

 2本先取の決勝トーナメントはさすがにレベルの高い戦いになった。戦いの場である「CHaser」のマップパターンが変わったことや、相手のプログラムとの相性という運の要素もあって、旭川大会の予選上位者や釧路・帯広の代表はなかなか勝つことができない。ベスト4に残ったのは、岩上舞依さん(中央中1年)、鬼塚佳任さん(神居中2年)、後藤耀一さん(神居中3年)、それに予選1位通過の下村さんという“旭川組”で、決勝は岩上さんと下村さんという女子生徒の戦いになった。

決勝に進出した岩上舞依さん(左)と下村恵子さん
決勝に進出した岩上舞依さん(左)と下村恵子さん

 決勝はお互いのキャラクターがにらみ合う場面もある見応えのある戦いで、1本ずつ取り合った後、下村さんが最後のゲームで岩上さんを制した。下村さんのプログラムは、傍から見ていても他の参加者のそれとは動きが異なるプログラム。スタートから周囲を見渡し、自分のキャラクターがマップ上のどこにいるかを確認してから動き出す。自信もあっただろうが、しかし3本勝負で1本取られたとき、下村さんの顔には不安と緊張の表情が貼りついていた。最後の1本で勝負が決まったとき、両手を挙げて飛び上がって喜んだのが印象的だった。終わってみれば、昨年の悔しさを見事に晴らした下村さんの順当勝ちだったが、やはりU-16プロコンにはドラマがある。

下村さんは全身で優勝の喜びを表現
下村さんは全身で優勝の喜びを表現

 今年の大会は、ITジュニア育成交流協会の協賛企業であるさくらインターネットの協力で、大会の模様をYouTubeのライブストリームで配信。大会の司会をITイベンターとしてつとに知られたさくらインターネットの法林浩之さんが務めたことで、例年にも増して盛り上がった大会になった。さらに、同じく協会協賛企業であるクリプトン・フューチャー・メディアやアイ・オー・データ機器、バッファローが副賞を提供している。

司会・実況で会場を盛り上げた法林浩之さん
司会・実況で会場を盛り上げた法林浩之さん

 地域の大人たちの志によって支えられた高校・高専の先輩たちが、子どもたちを大会まで導いていく――そんな理想的な仕組みをもった大会が成長を重ね、「プログラミングの世界に子どもたちの未来をつくる」イベントとして全国に発信できるレベルに成長しつつある。そんな印象を抱かせる今年のU-16プロコンだった。

決勝トーナメント出場者たちでパチリ
決勝トーナメント出場者たちでパチリ

(文:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)
(写真:道越一郎・市川正夫)

【協賛企業通信】冨田勲氏追悼特別公演、初音ミクがダンサーと共演

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 5月5日に慢性心不全のため84歳で亡くなった世界的なシンセサイザー音楽の第一人者で作曲家の冨田勲氏の追悼特別公演が、11月11・12日の2日間、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで開かれた。公演では、亡くなる1時間前まで氏が精力的に取り組んでいたスペース・バレエ・シンフォニー『ドクター・コッペリウス』が初めて披露された。

 『ドクター・コッペリウス』は、初音ミクとオーケストラ、バレエで宇宙への旅を描く作品。指揮は渡辺一正氏、オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。バレエダンサーで、コッペリウス役の風間無限氏と初音ミクのパ・ド・ドゥ(二人踊り)を披露するなど、“世界のTOMITA”が遺した音楽の集大成に会場は酔いしれた。

『ドクター・コッペリウス』で初音ミクとのパ・ド・ドゥ(二人踊り)を披露するバレエダンサーでコッペリウス役の風間無限氏 ©Crypton Future Media,INC.www.piapro.net/photo by 高田真希子
『ドクター・コッペリウス』で初音ミクとのパ・ド・ドゥ(二人踊り)を披露するバレエダンサーでコッペリウス役の風間無限氏 ©Crypton Future Media,INC.www.piapro.net/photo by 高田真希子

 冨田氏が遺したストーリー原案と音楽構想にもとづいてプロジェクトメンバーが完成させた『ドクター・コッペリウス』は、宇宙を夢見るロケット開発者のコッペリウスが初音ミクと出会い、宇宙空間に飛び出すというストーリーだ。公演には、初音ミクの生みの親、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役が初音ミクの映像開発ゼネラルプロデューサーとして参画した。高校生の頃に冨田氏の音楽に触れ、感銘を受けたという伊藤代表取締役。ヴァーチャルシンガーとして冨田作品に初音ミクを出演させるのは、2012年初演の『イーハトーヴ交響曲』に続いて2作目となる。「初音ミクが人間のバレリーナとともに舞う。実在しない初音ミクを舞台に登場させて、他の演奏者と同じように指揮者の指揮に合わせて歌を歌うシステムは当社で開発した」と話す。

冨田作品ついて「70年代の初期の作品を聞いても古いという感じがしない。当時前例のないなかで、Moogシンセサイザーで試行錯誤してつくられたであろう音色が楽曲のなかにたっぷりと含まれていて、作品が単なる作曲にとどまらず、音響デザインになっているところがとても興味深い」と語るクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役
冨田作品ついて「70年代の初期の作品を聞いても古いという感じがしない。当時前例のないなかで、Moogシンセサイザーで試行錯誤してつくられたであろう音色が楽曲のなかにたっぷりと含まれていて、作品が単なる作曲にとどまらず、音響デザインになっているところがとても興味深い」と語るクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役

 作品は、間に合わなかった第1楽章と第2楽章を欠番にして、第3楽章から第7楽章までで構成。さらに、プロジェクトメンバーが冨田氏への想いを捧げる第0楽章を冒頭に付け加えて演奏された。随所に「TOMITAサウンド」がちりばめられ、冨田勲の遺作にふさわしい楽曲に仕上がっている。加えて初音ミクが歌い人間とともにバレエを踊るという近未来的な試みは、最後まで少年の心をもち続けた冨田氏らしさを表現していた。舞台上部、左右に配置した変幻自在に形を変えるスクリーンを使った斬新な映像演出も秀逸。舞台上で自由に動く人間のバレエダンサーに対し、スクリーンの中だけでしか踊れない初音ミク姿は、亡くなった冨田氏を表すかのようで、もの哀しくもあった。

会場では、思い出として追悼特別公演のパネルを写真に収める来場者も目立った
会場では、思い出として追悼特別公演のパネルを写真に収める来場者も目立った

 公演では、このほかオーケストラと合唱団、初音ミクを共演させ、宮沢賢治の世界を表現した『イーハドーヴ交響曲』や、冨田氏の代表作の一つ、ホルストの『惑星』のリミックス版『惑星 Planets Live Dub Mix』が披露された。もともとこの日は「冨田勲 生誕85周年記念 新作世界初演 冨田勲×初音ミク 『ドクター・コッペリウス』」が企画されていたが、冨田氏の遺志を継いで追悼特別公演というかたちで実現した。

 なお、『ドクター・コッペリウス』の再演が決定した。『冨田勲×初音ミク ドクター・コッペリウス』と題し、演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団。東京・墨田区のすみだトリフォニーホールで2017年4月に開催する。

(文・写真:ITジュニア育成交流協会 道越一郎)


選抜組を特訓! 高校ものコン2連覇の鶴崎工業

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 全国高校生ものづくりコンテスト(高校ものコン)・電子回路組立て部門で2014・15年と2年連続優勝、しかも今年は開催県枠を含めて2名が出場し、もう一人も準優勝を勝ち取った大分県立鶴崎工業高校。その強さの秘密を知りたくて訪問した。残念ながら授業時間中ということで、今回優勝・準優勝のお二人には会えなかったが、電気科主任の中西俊裕先生が活動の一端を紹介してくれた。

 

全国高校生ものづくりコンテスト・電子回路組立てで優勝した西田悠真さんは、BCN ITジュニア賞2016に招待される予定だ
全国高校生ものづくりコンテスト・電子回路組立てで優勝した西田悠真さんは、BCN ITジュニア賞2016に招待される予定だ

 高校ものコンには、課外部活動の電気部の生徒が出場する。部員は現在39名で、電気科の生徒を中心に機械科などの生徒も入っている。主にマイコンカーラリー、競技ロボット、相撲ロボットの全国大会を目標に活動していて、そのなかから高校ものコンに向いた生徒を1学年1名選抜し、県予選会の3~4か月前から特訓するのだという。「最初からものコン向けの選手を養成しないのか」とたずねたところ、「当校には情報技術科がなく、コンテストに取り組むのは電気科、機械科の生徒たち。エレクトロニクスとメカトロニクスの総合技術・知識の習得には先に述べた3競技のほうが向いている。電子回路組立てはそのなかの要素技術なので、活動ぶりを見て向いていそうな生徒を見つけて特訓をするのが本人のためにもいいし、今のところ成果も出ている」という答えが返ってきた。

 

 

マイコンカーレースのキットとコンピュータ実習室。実習中におじゃました
マイコンカーレースのキットとコンピュータ実習室。実習中におじゃました

 

 特訓の内容をうかがうと、部活動は16時から19時30分頃までで、はんだ付けの練習、プログラム作成、最後にものコン過去問題の演習を毎日繰り返し徹底してからだに覚えこませることだそうな。平日だけでなく、土・日曜はこの繰り返しを2~3回こなす徹底ぶり。相当なものだと感じ入った。

 

電子回路組立ての特訓用作業台。3台の机で1~3年生一人ずつが訓練する
電子回路組立ての特訓用作業台。3台の机で1~3年生一人ずつが訓練する

 

 とはいえ、日頃の技術・知識指導は上級生が下級生に教え、引き継いでいくのがほとんどで、先生はそれを見ながらときどき課題を示すだけだという。このあたりが伝統校の強みかもしれない。「これで全国大会で勝てるようになるものなんですね」とたずねると、「まあ、そうですね。今年2位になった生徒は2年生ですから、3連覇を目指しますよ」と、中西先生はニヤリとした。

おめでとう! 若きITの勇者たち――BCN ITジュニア賞 2016 受賞校・受賞者

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株式会社BCNは、技術立国日本の次代を担う若い世代にものづくりの情熱を伝え、IT産業に一人でも多くの優秀な若者を迎えるために、2006年にBCN ITジュニア賞を創設しました。NPO法人 ITジュニア育成交流協会は、受賞者の推薦と表彰式の運営を担っています。第11回のBCN ITジュニア賞の表彰式は、1月29日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで盛大に開催されました。

 

今年は、5チーム、5個人、総勢27名が受賞。BCN AWARD 2016を受賞したわが国を代表するIT企業のトップの目の前で、当協会協賛企業の代表者から壇上で賞状・トロフィーを受け取りました。 受賞校・受賞者とプレゼンターを務めていただいた協会協賛企業の皆さまをご紹介します。

(ITジュニア育成交流協会 事務局)

松本工業高校、「若年者ものづくり競技大会」で連覇

長野県松本工業高等学校 渡邊 颯 

第第10回若年者ものづくり競技大会 電子回路組立て 厚生労働大臣賞

(指導教員:電子工業科教諭 三澤 実)

左から、クオリティの浦聖治代表取締役、渡邊颯さん、BCNの奥田喜久男会長兼社長
左から、クオリティの浦聖治代表取締役、渡邊颯さん、BCNの奥田喜久男会長兼社長

食物アレルギーをもつ人向けの多言語対応外食支援アプリを小学生が開発

中馬 慎之祐(成蹊小学校) 

U-22プログラミング・コンテスト 2015 経済産業大臣賞

 

左から、オービックビジネスコンサルタントの和田成史社長、中馬慎之祐さん、クリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉VOCALOID開発チーム リーダー
左から、オービックビジネスコンサルタントの和田成史社長、中馬慎之祐さん、クリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉VOCALOID開発チーム リーダー

一つのキーワードからネット上のさまざまな情報を得るキュレーションアプリ

清水 大輝(国立米子工業高等専門学校) 

U-22プログラミング・コンテスト 2015 経済産業大臣賞

左から、アイ・オー・データ機器の細野昭雄社長、清水大輝さん、PFUの松本英樹イメージビジネスグループ国内営業統括部統括部長
左から、アイ・オー・データ機器の細野昭雄社長、清水大輝さん、PFUの松本英樹イメージビジネスグループ国内営業統括部統括部長

授業の音声を記録し、タグづけによって効率よく復習ができる学習支援アプリ

藤坂 祐史(筑波大学情報学群情報メディア創成学類) 

U-22プログラミング・コンテスト 2015 経済産業大臣賞

左から、ドスパラの西尾伸雄社長、 藤坂祐史さん、ITジュニア育成交流協会の高橋文男理事長
左から、ドスパラの西尾伸雄社長、 藤坂祐史さん、ITジュニア育成交流協会の高橋文男理事長

スマートフォンをコントローラにする3D マルチシューティングゲーム

河原電子ビジネス専門学校 KBC射的屋

U-22プログラミング・コンテスト 2015 経済産業大臣賞

左から、ITジュニア育成交流協会の真木明理事、山田航己さん、板本佑磨さん、佐伯星哉さん、眞鍋孝明さん、エレコムの柴田幸生常務取締役
左から、ITジュニア育成交流協会の真木明理事、山田航己さん、板本佑磨さん、佐伯星哉さん、眞鍋孝明さん、エレコムの柴田幸生常務取締役

小学校での安全活動教育を支援するアンドロイド・タブレットのシステム

国立東京工業高等専門学校 「ホップ!ステップ!マップ!」制作チーム 

第26回 全国高等専門学校プログラミングコンテスト 課題部門 文部科学大臣賞

(指導教員:情報工学科准教授 吉本 定伸)

左から、ITジュニア育成交流協会の高橋文男理事長、後藤健太さん、鈴木大介さん、渥美亮祐さん、下中直紀さん、虻川みのりさん、トレンドマイクロの大三川彰彦副社長
左から、ITジュニア育成交流協会の高橋文男理事長、後藤健太さん、鈴木大介さん、渥美亮祐さん、下中直紀さん、虻川みのりさん、トレンドマイクロの大三川彰彦副社長

小型船舶が安全に航海するためのスマートフォンによる海上運行支援システム

国立弓削商船高等専門学校 「Smart AIS」制作チーム 

第26回 全国高等専門学校プログラミングコンテスト 自由部門 文部科学大臣賞

(指導教員:情報工学科教授 長尾 和彦)

 

左から、ITジュニア育成交流協会の真木明理事、瀬尾敦生さん、宇崎裕太さん、肥田琢弥さん、山本愛奈さん、井上香澄さん、キューアンドエーの安達あける執行役員
左から、ITジュニア育成交流協会の真木明理事、瀬尾敦生さん、宇崎裕太さん、肥田琢弥さん、山本愛奈さん、井上香澄さん、キューアンドエーの安達あける執行役員

一回戦から決勝戦まで圧倒的な強さで競技部門を制する

国立八戸工業高等専門学校 

「プログラムが一晩でやってくれました」制作チーム 

第26回 全国高等専門学校プログラミングコンテスト 競技部門 文部科学大臣賞

(指導教員:電気情報工学科講師 細川 靖)

左から、ITジュニア育成交流協会の高橋文男理事長、永田大也さん、道上和馬さん、日山拓海さん、日本事務器の田中洋二取締役兼CDO
左から、ITジュニア育成交流協会の高橋文男理事長、永田大也さん、道上和馬さん、日山拓海さん、日本事務器の田中洋二取締役兼CDO

高校生ものづくりコンテストは鶴崎工業高校が2年連続で制する

大分県立鶴崎工業高等学校 西田 悠真 

第15回 高校生ものづくりコンテスト全国大会 電子回路組立 厚生労働大臣賞

(指導教員:電気科教諭 八川 博孝)

左から、ITジュニア育成交流協会の真木明理事、西田悠真さん、サンワサプライの三宅栄常務取締役
左から、ITジュニア育成交流協会の真木明理事、西田悠真さん、サンワサプライの三宅栄常務取締役

ネットワーク対戦型のゲーム競技、大接戦と大逆転で初優勝

山梨県立谷村工業高校 工学研究部 プログラミングコンテストチーム 

第36回 全国高校生プログラミングコンテスト 優勝

(指導教員:電子工学科講師 卯月 英二)

左から、ITジュニア育成交流協会の高橋文男理事長、岡島陸さん、大津昌寛さん、 臼井奈美恵さん、渡邊悠奈さん、山口勝士さん、シー・シー・ダブルの金成葉子社長
左から、ITジュニア育成交流協会の高橋文男理事長、岡島陸さん、大津昌寛さん、 臼井奈美恵さん、渡邊悠奈さん、山口勝士さん、シー・シー・ダブルの金成葉子社長

BCN ITジュニア賞 ノミネート対象コンテスト

●若年者ものづくり競技大会 電子回路組立て部門

職業能力開発施設、工業高等学校など、若年者のものづくり技能に対する意識を高め、一人前の技能労働者に育成するために、技能習得の目標を付与し、技能を競う場を提供する。主催は中央職業能力開発協会(JAVADA)。

●U-22プログラミング・コンテスト

「個人」「団体」の2部門で、完成度の高いさまざまなジャンルのソフトウェア作品が集まる。一昨年から応募対象者をU-22(22歳以下)に拡大。実行委員会は事務局を一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)に置く。

●全国高等専門学校プログラミングコンテスト

「課題」「自由」「競技」の3部門で、全国の高等専門学校生が感性・創造力・技術力を競う。主催は一般社団法人全国高等専門学校連合会。昨年は長野市で開催され、日本の高専に加え、海外から5カ国7チームが参加した。

●高校生ものづくりコンテスト全国大会(ものコン)

ものづくりを学ぶ全国の高校生が、学習成果の発表の場として一堂に会し、技術・技能を競う。主催は公益社団法人全国工業高校学校長協会。今年は九州大会で、電子回路組立部門は大分市で開催した。

●全国高校生プログラミングコンテスト

主に工業高等学校の情報技術系学科の生徒たちが参加する伝統あるコンテスト。主催は全国情報技術教育研究会。近年は、ネットワーク対戦型のゲーム「CHaser」による競技で勝者を決定している。山梨県立谷村工業高校は初優勝だ。

【事務局通信】年次総会を開催 新理事長に奥田喜久男が就任

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年次総会開催のご報告

 

 NPO法人ITジュニア育成交流協会は、6月1日に第11期年次総会を開催し、2015年度(第10期)

活動報告/2015年度会計報告/2016年度(第11期)活動方針/2016年度予算が承認されました。

 また、総会後に開催した理事会で、任期満了に伴う高橋文男理事長・真木明理事・佐藤敏明理事

の退任と、新理事長として奥田喜久男(株式会社BCN会長兼社長)の選出を決議しました。さらに

新任理事として、大原昌彦・道越一郎の両名を選出いたしました。

 

                        NPO法人 ITジュニア育成交流協会 事務局

 

           ★         ★         ★

 

<新理事長 奥田喜久男からのご挨拶>

 

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。また平素はNPO法人ITジュニア育成交流

協会の活動に多大のご支援・ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、ITジュニア育成交流協会は、6月1日に年次総会および理事会を開催し、2015年度の活動報告および会計報告を行うとともに、2016年度の活動計画、役員体制などを決定いたしました。

 今年度の活動計画としましては、従来から取り組んでいる①BCN ITジュニア賞の運営支援と主要ITコンテストの支援・協力、②リユースPC寄贈斡旋プログラムの推進、③BCN ITジュニア賞の受賞者で構成する「発芽会」の運営活性化、④ITジュニア支援の情報発信に加え、⑤10年後を見据えて

16歳以下のITジュニアを主対象とした支援活動にチャレンジすることといたしました。

 また、任期満了に伴い高橋文男理事長、真木明理事、佐藤敏明理事が退任し、新理事長には奥田喜久男が就任し。新理事として大原昌彦・道越一郎が参画いたします。今後とも、倍旧のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。なお、退任する高橋文男前理事長、真木明前理事には、今後も協会正会員としてさまざまな活動に関わっていただきます。

 末筆ながら、みなさまのご隆盛とご発展を祈念申し上げます。

                                          敬具

 

                              2016年6月

                              NPO法人ITジュニア育成交流協会

                                    理事長 奥田 喜久男

 

【2016年度(第11期)役員】

   理事長             奥田喜久男(新任)

  理事       大原昌彦 (新任)

  理事       道越一郎 (新任)

  理事・事務局長  市川正夫 (重任)

  監事       大橋典子 (任期継続中)

 

 

           ★         ★         ★

 

<高橋文男前理事長/真木明前理事からのご挨拶>

 

 

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 さて、私どもは去る6月1日に開催された総会をもって理事長、理事の任期を満了し、退任いたしました。2011年8月就任以来、みなさまには多大なご支援、ご協力を賜り、おかげさまをもちまして、なんとかその職責を勤めることができました。厚く御礼申し上げます。

 私どもは約40年間の民間企業での会社人生活を終えて、当NPO法人の活動に参加させていただきましたが、企業家精神あふれる協賛企業の方々、情熱をもって平日・休日の区別なく学生生徒の成長を教導しておられる先生方、そして若さと意欲で明日の社会にチャレンジを続けるITジュニアのみなさんに出会い、会社人生活にはなかった交流や経験をさせていただき、楽しく充実した時間を得ることができました。みなさまに心から感謝申し上げます。

 NPO法人ITジュニア育成交流協会は、別掲の通り、6月1日をもって新しい役員体制の下で新事業企画も加えて活動をスタートしております。私どもは、今後は会員として活動に参加してまいる所存ですので、新体制の協会ともども、今後とも何卒よろしくご支援・ご協力賜りますようお願い申し上げます。

 みなさま方のますますのご隆盛、ご発展をお祈りいたします。

                                          敬具

 

                              2016年6月

                              NPO法人ITジュニア育成交流協会

                                   高橋文男(前理事長)

                                   真木明 (前理事)

SMAのセミナーでU-16プロコン「旭川モデル」を紹介

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 6月28日、一般社団法人スキルマネージメント協会(SMA、大原茂之理事長)が東京・千代田区のちよだプラットフォームスクウェアで開催した第7回SMAオープンセミナーで、ITジュニア育成交流協会の奥田喜久男理事長が 「広がる IT ジュニアの裾野とその未来」と題して講演した。

 スキルマネージメント協会(SMA)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)で標準化された組込みスキル標準(ETSS)をベースに、人材育成、スキルマネージメント手法の開発、スキルの分析手法、経営指標としてのスキルの可視化などを行う団体で、ITジュニア育成交流協会とは提携関係にある。

 「IoTとAIが牽引する時代の展望と人材の育成・活用のあり方」と題した今回のセミナーでは、SMAの大原理事長による「スキルとタレントのマネージメントによる人材育成研究会の活動報告 」など、三つの研究部会が会員企業に向けて報告。あわせて招待講演として、ITジュニア育成交流協会の奥田理事長が「広がるITジュニアの裾野とその未来」と題して講演した。

 講演では、協会の活動に初めて触れる方々にITジュニアの育成活動を紹介した後、今年度から新たに取り組むU-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)「旭川モデル」の展開を説明した。

 旭川で今年6回目を迎える16歳以下を対象としたU-16プロコンは、中学生を中心とする世代にプログラミングの楽しさを知ってもらい、パソコンが好きな子どもたちの夢や目標になることを目的とした大会だ。夏休みに事前講習会を開催し、秋にコンテストを行う。講習会からコンテストまで、参加する中学生たちはプログラミングを勉強するのだが、そのときわからないこと、困ったことが出てきたら、コンテスト実行委員会に連絡すると、地元の工業高校・高等専門学校の生徒・学生が教えに来てくれるという「先輩が後輩を教える」仕組みをもつ。

 

 いま、U-16プロコン北海道の実行委員会とITジュニア育成交流協会は、この仕組みを「旭川モデル」として全国で展開し、U-16プロコンを各地で開催しようと動きはじめている。人材育成の手法を研究するSMAの会員に向けた今回の講演によって、IT業界のなかから多くの応援の声が上がることを期待したい。

 

                      (文・写真:ITジュニア育成交流協会 市川 正夫)

OSC北海道でU-16プロコンのデモンストレーションを実施

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 16歳以下の児童・生徒を対象にしたプログラミングコンテスト「U-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)北海道」の実行委員会が、6月18日、札幌市で開催された「オープンソースカンファレンス2016 Hokkaido (OSC北海道)」で、U-16プロコンを支えている大人たちなどによるデモンストレーションを行った。

 オープンソースとは、コンピュータプログラムのソースコードを一般に公開しているソフトウェア。インターネットなどを通じて無償で入手でき、誰でも自由に使用・改変などができるので、世界中の開発者コミュニティや企業が開発・利用している。U-16プロコンを北海道のオープンソース開発者たちが集まるイベント「OSC北海道」で紹介し、理解者や賛同者を募っていくことで、現在の旭川・釧路・帯広から、さらに開催都市を増やしていこうとする試みだ。

 

オープンソースを開発・利用する企業・団体が展示やセミナーで「オープンソースのいま」を提示する「OSC 北海道」
オープンソースを開発・利用する企業・団体が展示やセミナーで「オープンソースのいま」を提示する「OSC 北海道」

 

 約50人の観衆が見守るなか始まったデモンストレーションは、冒頭、実行委員会の下村幸広・旭川工業高校教諭が大会の内容と使用するプログラムを説明。続いて、午前中の予選で勝ち残った4組のプログラムによる対戦を行った。

 

U-16プロコン北海道実行委員会の下村幸広・旭川工業高校教諭が大会で使用するプログラム「CHaser」を説明
U-16プロコン北海道実行委員会の下村幸広・旭川工業高校教諭が大会で使用するプログラム「CHaser」を説明

 

 このプログラムに精通した4組のなかで、圧倒的な強さで勝ったのは、同じ対戦型プログラムを使用する高校生プログラミングコンテストで2012年に優勝した宮城県工業高校のプログラムだった。

 

勝負は「相手より多くアイテムを回収する」「自分のコマが敵のコマの上に乗る」「相手をブロックで動けなくする」ことなどによって決まる
勝負は「相手より多くアイテムを回収する」「自分のコマが敵のコマの上に乗る」「相手をブロックで動けなくする」ことなどによって決まる

 「OSC北海道」の終了後に行われた関係者懇親会には、出展していたクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役も顔をみせ、U-16プロコン実行委員会の面々と熱く語り合う場面がみられた。U-16プロコン旭川大会の仕組みを説明する下村教諭に、伊藤代表取締役は自らの歩んできた道を重ねながら質問を重ね、「旭川モデル」の真髄に迫った。最後には、自らが実行委員長を務め、10月10~16日に札幌で開催される映像と音楽、ITの祭典「No Maps」でのU-16プロコンのデモンストレーションを要請し、下村教諭も「ぜひお願いします」と応じた。

 

 U-16プロコン北海道実行委員会は、今後も全国のOSCで機会を見つけてこうしたデモンストレーションを実施し、それぞれの地方で理解者・賛同者を発掘していく。

 

                                                                (文・写真:ITジュニア育成交流協会 市川 正夫)

 

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